抗がん剤治療2度目|感染症とは?夫の症状

白血病・治療

抗がん剤治療では、正常な血液細胞も壊してしまうため、免疫力が下がり感染症に罹りやすくなります。2度目の抗がん剤治療のとき、感染症に罹った夫の話です。

感染症

感染症
さまざまな病原体の感染により生じる疾患の総称。
病原体(細菌・ウイルス・真菌・寄生虫など)が体に侵入しても、感染症になるかは病原体の感染力と体の抵抗力とのバランスによる。

感染源から周囲に広がるもので、接触感染・飛沫感染・空気感染・媒介物感染がある。

接触感染
感染者(源)に直背接触して感染する。
とびひ、梅毒、淋病、破傷風 など

飛沫感染
咳やくしゃみで飛び散ったしぶき(飛沫)を吸い込むことにより感染
インフルエンザ、かぜ、百日咳、マイコプラズマ など

空気感染】
空気中を漂う微細な粒子を吸い込むことにより感染
結核、はしか、水ぼうそう など

媒介物感染
汚染された水、食品、血液、昆虫などを介して感染
コレラ(水)、食中毒(食品)、ウイルス性肝炎(血液)、マラリア(蚊)など


【細菌】
目で見ることのできない小さな生物。もともと人の身体には多種の細菌がいて、皮膚の表面や腸の環境を保っています。

「病気を起こすことがある細菌」
大腸菌、黄色ブドウ球菌、結核菌など

【治療】
抗菌薬(抗生剤、抗生物質)
細菌を壊したり、増えるのを抑えたりする薬。微生物が作った化学物質。

細菌以外の病原体(ウイルス、真菌)が原因の感染症には効果がない。(通常の風邪)

抗菌薬にはさまざまな種類があり、感染症が起きた場所、菌の種類によって最適な抗菌薬を使用する必要がある。肺炎なら肺炎球菌、膀胱炎なら大腸菌が原因など。

薬によって服用方法が異なり、1日1回の薬や、1日3回の薬もあるので正しく服用することが大事。症状が良くなったからと、途中で止めると感染症がきちんと治らない恐れがあります。

【日和見感染】
身体が弱っている状態のとき、日ごろは悪さをしない細菌が問題を起こし、感染症の原因になることがある。

  • 肺炎
  • 腎盂炎
  • 胆管炎
  • 蜂窩織炎 など

【ウイルス】
細胞の1/50程度の大きさ。 体内に侵入すると増殖する。
インフルエンザウイルス、ノロウイルス など

風邪はさまざまなウイルスが原因となる
ウイルスは大きさや仕組みが細菌と異なるため、抗生剤・抗生物質は効かない。

抗がん剤により白血球が少ない期間

白血球が少ないと感染症に罹りやすく、重症化しやすい為、事前に抗生物質や抗真菌剤の投与を行うことがあります。

どんなに気を使っても、空気中にいる菌や自分自身の身体にいる菌によって、感染症を起こすことがあります。感染症に罹る予防対策が大切で、手洗い、うがい、マスク、体調が悪い方の面会を控える、など普段から気を付けてください。

参考 AMR臨床リファレンスセンター

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感染症にかかった夫

2度目の抗がん剤点滴5日間が終わり、数日は体調の変化もほとんどなく、今回は「楽だね、これなら早く退院できそう♪」なんて話をしていました。

それが、発熱から始まり急激に悪化していった夫・・・

毎日40℃近くの高熱がでて、解熱剤を点滴してもなかなか下がらないし、下がってもまたすぐに上がってくる。トイレに行くのも、かろうじて点滴スタンドにすがって、私がいるときは体を支えて行っていたけれど、足元がふらつきかなり危なくなったので、車椅子が必要に。

でも、24時間の点滴をしていたので、トイレの回数も多く、原因不明の脚の痛みで歩くのも大変だったけど、車椅子を待てなくてふらつきながらトイレに行っていたら、大部屋にいたのがトイレに近い個室に移動になりました。

高熱が続いたので感染症の疑いがあるからと、血液検査をした結果「菌」がでたと・・・

高熱の原因はこの菌が悪さをしているからだと、抗真菌薬の点滴が追加されました。

でも、最初はまだ会話する元気もあったけど、そのうち話す気力もなくなりテレビもみない、食事もしない。ただぐったりと、ベッドに寝ているだけになってしまった夫。

この頃の症状
高熱、胸の痛み、腹痛、下痢、脚の痛み、痔

CT検査をした結果、

「いくつかの感染症がみられました」と担当医。

「えっ?いくつか?」

「ええ、一つじゃなくて何か所かみられるけど、もともと自分が持ってる菌とか、空気中にいる菌が悪さをしてるから、これはよくあることなんですよね。」

「そうなんですね・・・じゃぁ治療は?」

「今まで通り抗生剤の点滴なんだけど、今してる抗生剤プラス別の抗生剤を増やして、様子を見ます。」

抗生剤の点滴も増えて、こんなに毎日毎日薬漬けで大丈夫なのか不安だったけど、しょうがない・・・感染症を治すことが第一なので、この時は早く治ることを祈るしかなかったです。

 

しばらくして、ようやく症状が落ち着いてきたから少し安心できるかと思った矢先、40℃の高熱!
「また!?」

再び血液検査をすると、
「首に入れてるカテーテルの傷から、菌が入ったようなんで今から抜きます。」
と担当医から説明が。

首に入れてる中心静脈カテーテルが「ヤバいんじゃないか」と夫と話してたんですよ・・・

中心静脈カテーテルが何か調べてたときに、感染症に罹るリスクがあると知ったから、長い間入れたままは危ないんじゃないかと思ってました。

首のカテーテルを抜いてからは、腕からの点滴、点滴、点滴!

抗生剤に抗真菌薬、栄養剤に輸液に解熱剤。

これだけの薬漬けになってもなかなか改善せず、あまりにもストレスが溜まり精神的にも追い詰められた状態だったので、担当医に「どこまで回復すれば退院できるか」聞いてみました。

答えは「高熱が出なくなり食事が食べられること。」

血小板、好中球、ヘモグロビンは最低限回復してきていたので、抗生剤や抗真菌薬の点滴は飲み薬で代用できるそうです。

それを聞いた夫は、味覚障害で食欲がなくても食べるようになり、高熱じゃない時に少しずつ歩くようにして、とにかく少しでも早く退院できるようにと動き出しました。
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退院

その後、まだ体力も回復せず発熱もあったけれど、年末だったので大量の薬と共に退院しました。

感染症の予防には、手洗い、うがい、マスク、手の消毒など出来ることはしてましたが、すべてを防ぐことは難しいですね。

よく白血病患者の方が無菌室に入っていたと聞きますが、夫は無菌室には入ったことは無いんです。

病院や医師によって違うとは思いますが、主治医に聞いた話では「もともと自分が持ってる菌が原因で感染症になることが多いから、最近は無菌室には入らないことも多い。」とのことでした。

感染症に罹るかどうかは、個人差がかなりあると思います。何もない事が一番ですが、感染症になったとしても適切に対応してもらえれば、治ります。

夫は食事ができなくてみるみる痩せて、体力も気力も落ちていき、正直このままでは・・・と心配しました。でも、あることで精神的に変化が起こると回復に向かいだしたんです!

夫の姿を見て、精神的な物が体にも影響すると実感しました。

もし、抗がん剤の副作用で感染症に罹り辛くても、どうか、諦めないでください。