白血病になって夫があきらめた夢

夫の夢白血病ブログ

夫の夢

夫は20代前半に友達と数人でアメリカに行き、そのまま不法滞在するほど自由で、やりたいことをしてきた人生。後にグリーンカードを取得することができたのは、本当に幸運でしたね。

話を聞けば聞くほど驚く話も多く、全く普通の人とは違う生き方をしてきたんだと、感心と呆れが入り混じった尊敬の念を抱いてました。

良い事も悪い事も本当にいろんな事を経験してきた夫は「人生に満足していたでしょう」と思われるかもしれませんが、まだまだ夫にはやりたいことや夢が沢山あったんです。

海の近くに住みたい

帰国して未経験の職に就き、生活の為に耐えながら働いて約10年。

60才で退職して海の近くに移住したい」と何度も話していました。

海の近くに住み、新しい仕事をしながら休みの日には釣りをして、畑で野菜を育てるような、もっと自然に近い生活をしたいと望んでいました。

叶わない夢じゃないですよね。

でも、「膀胱癌」の治療後も病院通いは何年も続き、体調がすぐれない事も多く、酷いときは脚の痛みで歩けなくなることもありました。

そうなると、仕事が思うようにできなく休まなければいけなかったり、入院や通院したりお金もかかります。本当ならそのお金は退職後の資金にしたかったけれど、こればっかりは仕方ないこと。

60歳で退職することを決めていたので、その後どこに住むかを夫と二人で話していると、「海の近く、出来ることなら島に住みたい」と言う夫。

でも、夫の身体を考えると病院が近くにあることが絶対に必要です。

退職前にしっかり検査してから、移住先を決めようとお願いした骨髄検査。

診断されたのが「急性骨髄性白血病」でした。

病名を聞き、夫と話していた未来がすべて崩れ去り、残ったのは大きな不安。

急性骨髄性白血病と診断されましたが、すぐに治療をするわけではなく、貧血が酷いときにだけ輸血をすることに。

なので、移住することは出来ない事はないけれど、血液内科のある大きな病院が絶対条件に。

  • 海の近く
  • 血液内科のある病院
  • 仕事がある
  • 家賃が安い

海のそばで、血液内科のある大きな病院に通える範囲、しかも貯蓄も少ないなか移住できる場所なんてそう簡単には見つかりません。

命にかかわる病気なので、夫の実家の近くに帰ることも話したけれど、病院のことを考えるとそれも難しくて、結局、今までの病院に通える所で少し自然の多い場所に引越しました。

夫の夢であった海の近くを諦めたこと、夫も納得したし私もこの決断で良かったと思っていますが、夫の本心はどうだったんでしょう。

もしかしたら、自然豊かな場所で新しい生活をしていれば、夫はもっと生きられたのでしょうか。今になってはあの時の決断で良かったと思うほかないけれど、もしかしたらと思ってしまいます。

白血病にならなければ叶えられた夫の夢。

無理をしても叶えるべきだったのか、答えのない問いが消えることはなさそうです。

 

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