眼底出血の説明と原因は何?治療法は?

白血病・治療

抗がん剤治療の入院中に、眼底出血を起こした夫です。

眼底出血の説明と夫の症状を紹介します。

眼底出血

眼底】
眼球の内部、奥の部分の事。網膜・脈絡膜・視神経・血管など大切な組織があります。

眼底出血】
網膜での出血を指すことが多いですが、程度や状態はさまざまです。出血の量や場所、原因によって、そのまま経過観察の場合もあれば、緊急手術が必要なものまであります。
網膜
眼底一面にある薄い膜状の組織。光や色を感じる神経細胞と神経線維からできています。
黄斑部
網膜の中心部分。ものを見るときに重要な働きをする組織で、視力にとって最も大切な部分。この部分に異常があると視力の低下を起こします。

検査

視力検査、眼底検査、視野検査、蛍光眼底造影検査、光干渉断層計(OCT)など

  • 眼底検査 出血の範囲・部位・血管閉塞の程度を知るため。
  • 蛍光眼底造影検査 造影剤を注射して眼底の血管を詳しく検査できる。
  • 光干渉断層計  網膜層の断面画像を撮る。造影剤を使わず、光を見るだけの検査なので患者の負担が少ない。

検査によって眼底出血の位置や大きさを確認し、手術が必要か経過観察でいいのか判断されます。

【注意】眼底検査では瞳孔を広げる目薬をさして検査するので、痛みなどはありませんが、数時間目が見えにくかったり、眩しく感じたりします。そのため検査後は車の運転は出来ません。

眼底出血を起こす病気

【網膜静脈閉塞症】
網膜の静脈が閉塞(血管が詰まって血液がながれなくなる)した状態。

眼底出血を起こす代表的な病気であり急激な視力低下、突然の視野障害で気づくことが多いです。血管が閉鎖する場所により「網膜中心静脈閉塞症」「網膜静脈分枝閉塞症」に分けられます。

網膜中心静脈閉塞症
網膜全体に出血があり、進行が早ければ難治性の緑内障になる可能性があります。
網膜静脈分枝閉塞症
網膜の部分的に出血があり、黄斑部に影響が及ぶと視力低下のおそれがあります。
【症状】
  • 急激な視力低下 何日に見えなくなったと発症時期がはっきりしていることが多い。
  • 突然の視野障害
  • 物がゆがんだり曲がって見える
  • 無症状
【網膜細動脈瘤】
網膜の動脈に小さな瘤(こぶ)ができます。瘤の血管壁はもろいので網膜出血を起こすことがあり、黄斑部に及ぶと視力低下のおそれがあります。
【糖尿病網膜症】
自覚症状がないまま進行し、最悪失明することがある怖い症状です。

糖尿病では血糖値が高い状態が続き、血管が弱くなることで眼底出血を起こします。網膜の血液のめぐりが悪くなることで視力障害につながります。

糖尿病になってから数年から10年以上経って発症することがありますが、自覚症状がない場合もあるので、糖尿病の方は定期的に検査を受けることが早期発見につながります。完全に治すことは難しいですが、糖尿病と眼科の適切な治療を続ければ網膜症の進行は防げます。

日本での失明原因の第1位!

【高血圧網膜症】
高血圧によって眼底出血など網膜の異常をきたしたものです。血圧をうまくコントロールすることで、症状もよくなることがあります。
【加齢黄斑変性】
年を重ねるとともに黄斑部に変化が起こる病気です。

【症状】
・中央部分がゆがんで見える
・視力低下・中心暗転
・色覚異常

糖尿病網膜症、緑内障とともに、失明を引き起こす病気として注意が必要です。

治療

自然に良くなる場合も多く、経過観察の場合や内服治療、程度によりレーザー治療、手術が必要になることもあります。

全身疾患による眼底出血はその原因となる病気を治療することが大切です。

  • 薬物治療 血液の流れを良くする薬を使う
  • 手術 レーザー光線で眼底を凝固する
    硝子切除で血液で混濁した硝子体を取り除く

【注意】原因の病気をそのままにしておくと、再発する可能性が高くなります!

糖尿病や高血圧などは自覚症状がないからと、そのままにしておくと他の病気を誘発することがあります。病院で薬をもらう、食生活や生活習慣を改善するなどしてください。

参考 日本眼科学会
参考 古川中央眼科

夫の眼底出血

夫は白血病の抗がん剤治療後に悪寒戦慄を何度か繰り返し、朝目覚めると片目の異常に気が付きました。入院中だったのでその日のうちに眼科を受診し「眼底出血」の診断を受けました。

症状は一部分が見えなくなる視野欠損で、「時間が経てば引く場合もあるけれど、手術をすればすぐに治せる」とのことでしたが、白血病の為経過観察になりました。

2週間後に眼科で確認すると、出血した部分が少し縮小していたので、このまま時間が経てば、消える可能性が高いとのことでした。今もまだ経過観察中です(2019,10)

原因

抗がん剤の副作用で血小板が少なくなっていたことと、悪寒戦慄(ガタガタと体が震える、高熱)のため、血圧が上がったことが眼底出血の原因だと思われます。血圧が高いときは200まで上がりました。

眼底出血は目の痛みはなかったそうなので、いつもと見え方が違うと思ったら、片目ずつ見えているか確認してください。

白血病の治療中で自分では気を付けようがありませんでしたが、このようなことがあるんだと知って、目に異常があればすぐに医師に伝えるようにしてください。

眼底出血を起こす病気はたくさんあるので、検診や人間ドックで指摘を受けたり、自分で異変を感じたり何か症状があれば、早めに眼科を受診し眼底検査を受けてください。

2019年10月末眼科受診の結果

縮小はしているけれど硬化がみられるので、手術をしたほうが良い」との診断でした。

簡単な手術だと聞いていたので、日帰りで出来るのかと思ったら「3,4日の入院が必要で手術は1時間ほど」だそうです。

現在白血病の治療中なので、手術をするならいつ頃なのか、そもそも手術が出来る状態なのかを血液内科の主治医と相談してもらうことになっています。