味覚障害
抗がん剤の副作用と言えば味覚障害と言われるほど、味覚障害になる患者さんは多いです。
夫も白血病の抗がん剤治療で味覚障害になりました。
最初は味覚障害だと気づかず、病院食が美味しくないと食事のたびに文句を言っていました。それがコーヒーの味、チョコレートの味、好きなお菓子の味が変なことから、初めて味覚障害だとわかったのです。
ただでさえ辛い抗がん剤治療。入院中は食事が取れないと体力も落ち、気も滅入ります。しばらく病院の食事が食べられなくて、かなり痩せてしまった夫です。
味覚とは物を食べるのに大切な感覚です。
味が正しく感じられない味覚障害とはどんなものなのか紹介します。
味覚障害
「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「うまみ」
『味』がわからなくなったり、『違う味』に感じてしまったりする症状
人は舌にある味蕾(みらい)という蕾状の器官によって味を感じています。しかし、なんらかの原因で味がわからなくなる症状が、味覚障害です。
味覚障害の症状
- 味がわかりづらい/味覚減退
- 味がわからない/味覚消失
- 甘味・塩味など特定の味がわからない/解離性味覚障害
- 甘いのに苦いなど違う味に感じる/異味症
- 何も食べていないのに苦み・塩味を感じる/自発性異常味覚
- 何を食べてもまずく感じる/悪味症
味覚障害の原因
- 亜鉛の不足
- 抗がん剤など薬の副作用
- 心因性によるもの
- 糖尿病・腎臓など病気の合併症
- アレルギー性鼻炎や風邪などによるもの
- カンジダ菌の口腔内での繁殖
- 口腔内の乾燥でおこる疾患など
味覚障害の治療
【亜鉛不足】
亜鉛を含んだサプリメントやお薬を処方されます。
食事は「牡蠣・うなぎ・牛肉・レバー・海藻・大豆・アーモンド・ごま」などの亜鉛を多く含む食品を多く取るようにします。亜鉛が効果的にはたらくため、ビタミンCや動物性たんぱく質をとることも大切です。
【心因性の場合】
ストレスを取り除くことや、抗うつ役・抗不安薬を使い、心の治療をおこなうことで改善します。
【薬の副作用】
医師と相談して薬を変更するか、薬を中止します。
【カンジタ菌の繁殖】
うがい薬や塗り薬、内服薬の使用。
カンジタ菌は誰もが口腔内に持っている常在菌です。健康な人ならば発症することはほとんどありませんが、体の抵抗力が低下した時に菌が繁殖しやすくなります。
なによりも口の中を清潔にすることでカンジタ菌を繁殖させないことが大切です。
【口腔内の乾燥】(ドライマススやシェーグレン症候群)
唾液の分泌を増やす薬を服用します。
【抗がん剤副作用】
特に治療はせず、自然に治るのを待つことになります。ほとんどの方が時間はかかるかもしれませんが味覚は正常に戻ります。実際に夫は退院するころには治っていました。
(追記 2度目の味覚障害を発症した夫は、何を食べても甘く感じ、2カ月経った今も治っていません。)
味覚の変化に合わせて味を調節することで、食事をしやすくなります。
◦ゆず・ごま・酢を利用する
◦食材のうまみをいかす
◦味にアクセントをつける
まとめ
夫の場合は抗がん剤の投与後しばらくして味覚障害だと気づきました。
もともと白血病の治療のためではなく、扁桃炎が原因での入院でした。それがあまりにものどの痛みが治らなく、耳鼻科の診察をお願いしてやっと『カンジタ菌』が理由だと判明。
飲み薬での治療を続けながら、抗がん剤の治療も開始。
抗がん剤の副作用だけではなく、カンジタ菌も味覚障害の原因だったのかもしれません。
食欲不振や味覚障害で病院食が食べられないときは、食事を止め栄養剤の点滴とゼリー飲料・ヨーグルト・バナナなど口にできるもので乗り越えました。
症状が治まる少し前にはお味噌汁を「味はわからないけれど温かいのが美味しく感じる」と毎日食事時間に飲んでいました。
味覚障害の症状には個人差があります。食べ物によってまったくダメな物や、比較的食べやすいものがあるので、少しずつ口にして食べられるものを探してください。
参考 口腔外科相談室
味覚障害で食事がとれないと痩せてしまったり、体力が落ちてしまいます。少しの量で多くの栄養がとれる、栄養補助食品を利用するのもおすすめです。