抗がん剤治療による下痢の原因と対策

抗がん剤下痢白血病・治療

夫は白血病の治療のため抗がん剤を使っていますが、多くのがん治療には抗がん剤が使用されます。抗がん剤と言っても色々な種類がありますし、点滴で投与するものや、飲み薬の抗がん剤もあります。

抗がん剤には副作用がつきものですが、薬の種類や患者さんによっても個人差がかなりあります。多くの方に症状がでる副作用が「下痢」です。

この「下痢」について少し紹介します。

抗がん剤の副作用下痢

【原因】
抗がん剤が腸の動きを活発になっておこる「コリン作動性下痢」、腸の粘膜がダメージを受けて起こる「腸管粘膜障害による下痢」があります。他にも腸内細菌のバランスの乱れや不安やストレスからくる精神的なものが原因の下痢もあります。

【コリン作動性下痢】(早発性下痢)
抗がん剤により副交感神経が影響を受けて蠕動(ぜんどう)運動が活発になることが原因とされる。抗がん剤初日から数日後に症状が出ることが多い。
【粘膜障害による下痢】(遅発性下痢)
抗がん剤による消化管粘膜の直接障害や、白血球が下がったときの腸管感染が原因とされる。抗がん剤開始から約10~14日後に発症することが多い。

◎ウイルスや細菌など
白血球が下がると免疫力が低下するので、下痢を起こす感染症にかかりやすくなります。

◎ストレスや不安など心的要因

  • がんになったことによるショック
  • 治療に対する不安
  • 体調悪化によるストレス
  • 生活の不安
  • 生活の変化によるストレス
【治療】
・整腸薬、下痢止め、抗コリン薬などの使用
・感染症による下痢には抗生物質の投与
・水分摂取が出来ない場合には点滴による補液
・場合によっては絶食にして点滴で栄養を補給

セルフケア

下痢をすると、体内の水分やミネラルが失われます。スポーツドリンクなどで十分な補給を心がけるようにして下さい。ただし、冷たいものは刺激になるため常温で飲むことをおすすめします。

一度に多く飲むのではなく、少しずつ何度も飲むようにしてください。

避けたほうがいい食品
冷たいもの、香辛料、コーヒー、コーラ、お酒、豆類、食物繊維の多い食品、揚げ物、乳製品

食事は消化に良いものにして、体力がついてきたら徐々に食べる量を増やしてください。

※安静にして、お腹が冷えないよう心掛けることも大切です。

がん治療中の栄養について

がんと闘うには、栄養のバランスを考えて食事をとることがとても大切です。

栄養価の高い食事は体力を維持し、感染症と闘ったり、抗がん剤や放射線治療で影響を受けた体を修復する助けになります。

抗がん剤による食欲不振や味覚障害など、食事をとることが難しいこともあるかと思いますが、無理のない範囲で高タンパク・高カロリーの食事をとるように心がけてください。

参考 がんを学ぶ  がん化学療法ハンドブック

夫の場合

抗がん剤が始まると、毎回下痢の症状があります。

抗がん剤が始まってすぐの場合もあれば、数日たってから症状がでたり、ときにはかなり酷く一日に10回もトイレに駆け込むこともありました。

夫は入院しての抗がん剤投与なので、症状があれば整腸剤、下痢止めを処方してもらっています。でも本当に酷いとき以外、下痢止めは断っていました。

それは「薬が効きすぎて便秘になると困るから」

他の患者さんも多くが同じ事を考えるようで、下痢止めを断っている方も多かったです。

抗がん剤の副作用には下痢だけでなく便秘もあり、そうなると下剤が必要な事もあります。どちらも患者にとってはつらい症状ですよね。

酷い下痢は体力を消耗するので、我慢しないで主治医や担当医と相談して、自分に合うお薬の使い方をしてください。

不安やストレスを抱える方へ12カ条を紹介します。

「安心して化学療法を受けるための12カ条」

第1条 病気を理解する
第2条 治療を理解する
第3条 副作用を理解する
第4条 副作用の対処法を知る
第5条 健康食品代替医療におぼれない
第6条 普通の生活を送る
第7条 何でもがんと結びつけて考えない
第8条 先々のことを考えない
第9条 近い時期に楽しいことを計画する
第10条  良い友達と付き合い家族を大切にする
第11条  仕方ないこと済んだことにこだわらない
第12条  納得するまで聞いてみる

「がん化学療法ハンドブック」より