抗がん剤の副作用【痔】
普段から痔の症状があっても、恥ずかしいからとそのままにしている方も多いんじゃないでしょうか。
がんの治療では抗がん剤を使用することが多いですが、抗がん剤の種類によっては副作用で痔になる方や、もともとの痔が酷くなることがあります。
夫も以前から痔には度々悩まされてきましたが、抗がん剤治療中は本当に大変でした。
なぜ副作用で痔になるのかと、夫の症状を紹介します。
抗がん剤での痔
抗がん剤の影響により骨髄で血を作る機能が低下し、白血球(好中球)が減少します。
抗がん剤投与後7日~14日で最低値となり21日くらいで回復してきます。好中球が減少すると免疫力が低下し、感染症を起こしやすくなります。
特に粘膜のバリアが破綻しすると細菌が侵入しやすくなり、感染症が発生するリスクが高くなります。この時期は重篤な状態になることがあるので、感染に対する予防が大切です。
- 口腔
- 鼻腔
- 肺
- 皮膚
- 腸
- 肛門
- 陰部
- カテーテル挿入部 など
感染症の原因となる細菌は、人が誰でも持っている常在菌によるものが多いです。
常在菌は健康な時には問題になりませんが、免疫力が下がった時に日和見感染をおこす可能性があります。
下痢や便秘で肛門に負担がかかることも痔の原因になります。
【副作用による2種類の下痢】
①腸の動きが活発になるために起こる下痢
抗がん剤により消化管の運動を調節する副交感神経が影響を受けて、腸の動きが活発になり下痢が起こるとされています。治療開始数日後に起こる。
②粘膜障害による下痢
消化菅粘膜が障害を受けたり、腸管感染が起きるため。
10日~2週間頃起こる。
【便秘】
抗がん剤により腸の動きが低下して便秘が起こります。
鎮痛剤や他の薬によって便秘になることもあります。その他、食事の量や内容、体を動かさないことも原因になります。
痔の種類
抗がん剤では好中球減少だけでなく血小板も減少します。血小板が少なくなると出血しやすく止まりにくくなります。
【切れ痔】
下痢で何度もトイレに行ったり、便秘でいきんだりすると、粘膜の破綻が起きやすい状態なので、傷ができ出血したりその傷から感染症を起こしたりします。
【内痔核】
直腸側(内側)にできたいぼ。排便時に出血があっても、痛みはそれほどないことがほとんどですが、外に出た内痔核が元に戻らなくなった場合は激しい痛みを伴います。
【外痔核】
肛門側(外側)にできたいぼ。うっ血し血栓ができると激しい痛みを感じます。
『もともと痔のある方は悪化することが多い。』
【予防】
- 排便時にいきまない
- トイレの後にはウォシュレットを使う
- 入浴やシャワーで清潔に
- 円座クッションの使用
抗がん剤の副作用での痔は、自分で気を付けていてもなってしまう事が多いです。そんな時は早めに医師に相談して薬を処方してもらってください。円座クッションはあると少し楽になります。
夫の症状
抗がん剤の副作用で痔になった夫の症状
- 外痔核
- 激しい痛み
- 出血
何年か前から痔が良くなったり悪くなったりで、病院へ行くこともありましたが、抗がん剤を始める前は症状が落ち着いていました。
主治医から「もともと痔があるから副作用で酷くなるよ」と言われていたので覚悟はしていたけれど、抗がん剤投与後しばらくは特に変化がなかったので、大丈夫なのかと思っていたら甘かった・・・
そのうち痛みがでて座ることも出来なくなり、ベッドに横になるだけの状態に。
担当医に相談して鎮痛剤を出してもらいましたがなかなか効かなくて、薬が効いても短時間しか効かなかったので、痛みを耐える時間が長くて大変でした。
鎮痛剤と塗り薬を使用していましたがあまり良くならず、副作用で食欲不振だったのに排便の事を考えるとさらに食べられなくなり、病院食を止めて栄養剤の点滴になりました。
・塗り薬 ヘモポリゾン軟膏・ゲーベンクリーム・スチブロンクリーム・デルモベート
・便を軟らかくする薬 マグミット
・感染症 抗生物質
これらの薬を試しながら、夫に合うものを探していました。
結局、大きく腫れあがった痔は血液の数値が上がるまで痛みは続きましたが、数値の上昇とともに治り始めたので一安心でした。
現在まで2度の抗がん剤治療をしましたが、どちらも痔の症状が酷かったです。
感染症にも罹り高熱など大変なことは多かったですが、夫が一番大変だったと言っているのは痔の痛みです。
痔の症状がある方は、恥ずかしいからとそのままにせず、抗がん剤治療することがあれば、酷くなるんだと思って早めに治療することをおすすめします。